1. HOME
  2. 診療案内
  3. 特に得意としている疾患
  4. 難治性潰瘍・褥瘡
  5. 糖尿病性足潰瘍について〜少しでも自分の足で歩けるように〜

特に得意としている疾患

SPECIALITY

難治性潰瘍・褥瘡

糖尿病性足潰瘍について
〜少しでも自分の足で歩けるように〜

目次

Ⅰ.あなたの足をまもるために

 糖尿病性足潰瘍とは、糖尿病患者さんにおいて、神経障害や末梢動脈疾患と関連して下肢に生じる潰瘍のことを指します。最初は小さなきずでも、なかなか治らず、何も介入しないでいると、最終的には歩けなくなって寝たきりのような状態になったり、重篤な場合は足からの感染が波及して全身状態が悪くなってしまいます。これの多くは、足先への血流低下や、感染を起こしやすい状態になっていることに起因します。

 糖尿病性足潰瘍は様々な科との連携したケアが重要な疾患です。当院での例を以下にお示しします。

 全国のどの医療機関でも、こうした集学的治療を受けられるわけではなく、様々な理由から、膝下や膝上などの血流が担保されている部分までの大切断術を余儀なくされているケースが少なくないのが実情です。


 大切断術だと、足先は残らない代わりに、確立された義肢・装具をつけてのリハビリを行うことで比較的早期の転院・退院を見込むことはできます。
 しかし、ある程度体力の残された患者さんでないと、こうしたリハビリに耐えられず、結果的に寝たきりの状態になってしまうことがあります。

 こうした現状の中、私たちは、「なるべく足を残して、歩く機能を最大限温存する」ことを目指して治療を行っています。

Ⅱ.糖尿病性足潰瘍に対する当院での診療の流れ

 当科の考える足潰瘍に対する診療の流れについて、以下のようにお示しします。

 病気の評価として重要なのは、血流と感染です。血流に関しては、皮膚灌流圧測定検査(SPP: Skin Perfusion Pressure)などの検査で評価します。また感染に対する評価として、骨への感染症(骨髄炎)や、膿の溜まり(膿瘍)がないかをMRIという画像検査を用いて評価します。
 血流が悪い場合、血管外科に血行再建の適応を検討していただき、バイパス術や血管内治療(EVT: EndoVascular Therapy)を施行します。
 また、血流の良い状態の創部で、肉芽増生を阻む壊死組織や不良肉芽が表層に残存する場合は、いわばその「おそうじ」のためのデブリードマンという手術を行います。ここで感染している悪い部分を取り除いたのちに、陰圧閉鎖療法などを用いて肉を盛り上げ、最後に植皮術や遊離皮弁術といった、「なまきず」を閉じる手術を行います。

Ⅲ.血管内治療・バイパス術

 末梢血流が良くない場合、どれだけ壊死部分を切除しても、またその創縁の壊死が進行してしまいます。

 待機的に壊死組織除去のための手術が行える場合、当院であれば先に血管外科によるバイパス術や血管内治療で血管を広げる治療(EVT)を行うことで血流改善を目指します。バイパス術は全身麻酔、EVTは局所麻酔を用いて、覚醒下で行うことが多いです。詳細は、<当院血管外科のホームページ>をご参照ください。EVTは循環器内科が担当する医療機関もございますので、おかかりになる施設にご確認ください。

Ⅳ.陰圧閉鎖療法

 デブリードマンで壊死組織を除去したのち、最長1ヶ月弱の間、洗浄付き陰圧閉鎖療法を行います。大量洗浄を行うことで感染予防を行いながら、創部を吸引することで肉芽増生を促すことが期待されます。

Ⅴ.植皮術

 感染所見も乏しく、ある程度肉芽が増生してきた「なまきず」は、長い時間をかけて皮膚表層の成分で覆われて(上皮化して)いきますが、ある程度の欠損創だと、カ月単位や年単位の非常に長い時間がかかります。そこで、あと表層だけあれば、という際には、足のつけね(そけい部)などの皮膚に比較的余裕のある部分から採皮して、その皮膚を加工して創部に貼って移植します。これを植皮術といいます。

Ⅵ.遊離皮弁術

 感染所見も乏しく、ある程度肉芽が増生してきたけれども、植皮術では歩行機能の温存が難しい「なまきず」の場合、背部や大腿部の筋肉・皮膚を血管付きで採取し、創部に移植することで被覆する、遊離皮弁術を検討します。

 足に残っている血管と移植筋肉についている血管同士を、手術用顕微鏡を用いた微小血管吻合(マイクロサージャリー)の技術で吻合することで、比較的厚く・強度の高い組織を生着させることができます。

Ⅶ.断端形成術

 断端形成術は、前足部に限局した骨髄炎がMRI検査などで明らかな場合に、「丸める」治療です。足部の切断のレベルで、足趾切断や中足骨切断(TMA)などの種類があります。足趾は本数が少なくなってしまっても、「歩けなくなってしまう」、ことはほとんどありません。医療機関によっては、形成外科ではなく、整形外科、外科、皮膚科や循環器内科などの診療科が、この手術を行う医療機関もあります。

Ⅷ.血糖管理

 どんなに手術加療を行っても、糖尿病のコントロールがついていないと、きずの治りが悪くなってしまいます。日々の血糖やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を指標として、内服やインスリン療法での治療を、かかりつけの先生と一緒に行いましょう。飲み忘れや打ち忘れ、医師の栄養指導以上の間食には注意しましょう。中には糖尿病自体も未治療のまま、もしくは治療中断したまま、足潰瘍が進行して、当科外来にお越しになられる患者さんもおられます。こうした場合、当科や血管外科での手術に先立って、糖尿病・代謝内科での入院を1週間程度行い、血糖値を安定させてから、手術に臨む場合もあります。手術のための入院中も適宜、糖尿病・代謝内科と相談しつつ、血糖管理を進めていきます。

Ⅸ.退院後の通院

 定期的に創部の観察を行い、再増悪したり、新たなきずができてないか確認していきます。所見に応じて、血流や感染の評価を適宜行います。軟膏処置が終了になったとしても、適度な保湿が重要ですので、おうちでのケアを欠かさないようにしましょう。ご自宅での軟膏処置についての一般的な解説は<ご自宅での創部処置>の項目をご参照ください。また、踵荷重の歩行になることが多いですので、適切な装具やフットウェアなどでの継続したケアが重要です。ご不明点は、適宜外来でお伺いください。

Ⅹ.ご受診される患者様・ご家族様、ご紹介いただく医療機関の方へ

 当院では、患肢救済を目指して、多くの科と連携した集学的な加療を行なっております。ご紹介にあたりましては、<難治性潰瘍・褥瘡外来の受診案内>のページをご覧いただけますと幸いです。虚血を伴う症例では、当院血管外科へも併せてご紹介いただけますと早期介入が見込まれます。
 また、難治性潰瘍・褥瘡の診察・入院・手術加療に関するお問い合わせフォームも開設しております。外来受診や転院のご相談だけでなく、症状のご相談だけでも、まずはお気軽にお問い合わせください。創部の写真などございましたら、添付いただけますと幸いです。
 基本的には一両日中のお返事とさせていただいておりますが、少々お時間を頂く場合があります。専門の医師がお返事しますが、実際に診察してみないと個別の治療に関する詳しいお話はできませんので、文面から想定できる一般論についてのみのお返事となります。以下のフォームからのご記入、お待ちしております。
 この度は、ご閲覧いただきありがとうございました。

    難治性潰瘍・褥瘡に関するお問合せフォーム