皮膚腫瘍
皮膚悪性腫瘍の治療
腫瘍の制御とは
身体にできた腫瘍に対する治療の原則は、腫瘍細胞を「一つ残らず全て除去する」ことです。これを「腫瘍の制御」といい、うまくいくと病気が「根治」します。
顕微鏡でないと見えないような小さな腫瘍細胞でも体内に残ると、やがて「再発」します。悪性腫瘍の場合は、再発時に既に多臓器に転移して手遅れになっている危険があります。
悪性腫瘍を除去するための治療法には下記の選択肢があります。
- 外科的切除
- 化学療法(抗癌剤治療)
- 放射線療法
この中で確実性(根治性)の高い治療がで、「2.化学療法(抗癌剤治療)」と「3.放射線療法」は「1.外科的切除」の補助的な効果を期待して行われる場合がほとんどです。
しかし浸潤傾向の強い悪性腫瘍細胞を全て取りきるには、ある程度の安全域を含めて切除する必要があるため、皮膚の欠損範囲は大きくなるケースも少なくなく、その場合は単純な縫合閉鎖が困難になります。
整容面にも配慮した手術
このように皮膚悪性腫瘍の治療に大切なことは「腫瘍の制御」であり、これを専門にしている診療科のことを「腫瘍外科」と呼びます。主に皮膚腫瘍外科を専門とした科としては、腫瘍の部位によっても異なりますが皮膚科、形成外科、整形外科、耳鼻咽喉科などが挙げられます。
われわれ形成外科は、失われた組織を修復したり再建したりするプロフェッショナルの集団です。更に整容性を重視した外貌変形の改善なども得意としています。
当科では、腫瘍を取り除くだけでなく、術後の患者さんの整容性をも考慮して、様々なテクニックを駆使しながら腫瘍切除後の変形がなるべく目立たないようにして、結果として患者さんの満足度が上がり、生活の質(Quality of life: QOL)を向上させることを目的としています。