顔面神経麻痺の検査
顔面神経麻痺の程度や局在性などを評価するために、当科で行っている代表的な検査を紹介します。
筋電図検査
文字通り、筋肉の動きを電気的に評価する検査です。20ほどもあってお互いに結合している表情筋(顔の表情を作る筋肉)を個別に評価することは困難ですが、おおよその部位別の動き、左右差などを評価します。移植した筋肉が元気に生着しているか、つないだ神経が筋肉に入ってきているかなどを調べることもできます。
瞬目(まばたき)検査
閉瞼機能には、意識して目を閉じる機能と、無意識の瞬目で閉瞼する機能の、性質の異なる2つの機能があります。前者は、洗髪時にシャンプーが目に入らないようにするなど、実生活で重要な役割を果たしています。一方で後者は、意識的に目を閉じなくても眼球の表面が乾かないようにして守る役割があり、どちらも重要な機能です。前者は実際に努力閉瞼してもらえば、できているかどうかが判定できますが、後者は一瞬の出来事なので、見ているだけでは分かりません。そこで、当科では、ハイスピードカメラを用いて、瞬目の頻度と閉瞼の深さを科学的に分析したうえで顔面神経麻痺の重症度を評価しています。瞬目検査は、形成外科的手術を行う際の術式や修正量を決定する指標にもなります。
写真やビデオによる、対称性や動きの解析
顔面神経麻痺は文字通り顔の動きの麻痺であるので、患者さんにとって、視野の広さ、閉瞼機能、摂食時の口唇の動きなどの機能的な問題に留まらず、容貌に関しても大きな問題になってきます。これらの、機能、容貌の問題を総合的に評価するために、受診時には写真やビデオを撮影して、経時的な変化をみながら治療に役立てています。
その他、顔面神経麻痺の原因が腫瘍でないことを確認するために、MRI検査、CT検査なども適宜行います。