再建外科
放射性下顎骨壊死の治療
放射線性下顎骨壊死とは
頭頸部癌、特に口腔がんや中咽頭癌に対する放射線治療では、下顎骨を完全にさけて放射線を照射することができません。このため、放射線治療の晩期障害として、下顎骨の阻血や繊維化が生じ、その後、抜歯処置や歯周病の増悪を契機として、下顎骨壊死を生じることがあります。自覚症状としては、痛みや腫れ、口腔内への骨の露出、歯肉からの排膿、歯のぐらつき、下口唇のしびれなど、さまざまですが、痛みがない場合もあります。
放射線性下顎骨壊死の治療
下顎骨壊死に対する治療として、初期の段階では、抗生物質の投与や口腔内の洗浄、高圧酸素療法などが行われますが、あごの皮膚に穴が開いてしまったり(瘻孔)、下顎骨が骨折してしまったりした(病的骨折)場合には、保存的治療では対応できず、外科的な治療が必要になります。
当科では、このような方に対し、壊死した下顎骨を切除(デブリードマン)し、体の他の部位から血行が豊富な骨を採取し移植するという方法(血管柄付き骨移植)で治療を行っています。骨の採取部位としては、採取した後の障害が比較的少ない、すね(腓骨)や背部(肩甲骨)が選択されることが多いです。もともと放射線治療の影響が大きく、傷が治りにくいため、大変難しい治療になりますが、少しでも治療前の顔貌や噛み合わせを取り戻せるよう、最適な再建方法を検討いたします。放射線治療後の下顎骨壊死でお悩みの方は、是非一度、ご相談ください。